Flower trivia

花・知られざる進化の秘密

 【花・植物の持つ不思議な力】
忙しく時間に追われる日常生活の中で、
通りすがりの、よそのお宅の庭に咲く一凛のバラを見て、 ふと心が和んでいるといった経験はありませんでしょうか?
なぜ、お花や植物に癒されるのでしょうか?

昆虫や鳥などに受粉や種子の移動を手伝ってもらうために、色や形や香りなどを 千差万別に進化させてきた花々。
数億年もの間、きびしい自然界で生き抜いてきた、たくましくも可憐に咲く花のエネルギーを 人々は感じ取るのでしょうか?

【“おしゃべり”する植物】

-最先端の科学が明らかにした植物たちの能力-

「音」「温度」「重力」「化学物質」などを植物は感知しています。

植物は虫が葉をかじる音を感知し、虫の唾液に含まれる化学成分で敵を認識します。
また一方的に食べられるだけではありません。
虫が食べたら、消化不良をおこす毒を作り出して反撃します。

虫の種類も見分けて、攻撃に使う毒物の種類や量を変える優秀な防御システムを植物は持っています。

また、食害を受けた植物が作り出す物質は、こうして自身の防御システムに直接働きかけるだけでなく 空気中に放出され「メッセージ」として機能します。

まだ虫に食べられていない葉がその物質を受け取ると、この防御システムが発動され 敵に備える準備をするのです。
この「メッセージ」は植物同士のみならず、昆虫や鳥などを呼び寄せ間接的な防御法として 使われていました。

ある植物が「イモ虫に葉をかじられている」と伝達物質を空気中に放出すると、
そのイモ虫の天敵であるテントウ虫などがその情報をキャッチして出どころ探し出し、そのイモ虫を捕食します。
こんな「持ちつ持たれつ」な関係が生態系内で成り立っているのです。

植物がまるで“おしゃべり”するようにコミュニケーションしているというこの研究
成果には、誰しもがワクワクするものですね。


【wood-wide web(ウッド・ワイド・ウエブ)】
-森の地下のインターネット-

森では樹木が光合成で得た栄養分を菌類に提供し、菌類が土壌から集めた養分をお返しに樹木が受け取るという 共生関係が成り立っています。
光の射さない暗い森の中で光合成のできない小さな苗木は、自分の力で生きていけるまで 何年もの間、大きな木の根の菌糸のネットワークにつながり、その命をつないでいます。
食害にあったり病気で弱った木も、周りの木が養分を送ります。
 
木々と共生する菌類が森の地下で菌糸を伸ばすことで、樹木の根同士をまるで インターネットのようにつないで巨大なネットワークを構築し 養分のやり取り以外にも害虫や害獣の情報交換なども行い、お互いに支え合い 、豊かな生態系を守ってきたのです。
【花の誕生】
-地球を一変させる大革命-

そんな植物の進化は白亜紀に「あるもの」が誕生し、地球の生命史の一大転換を迎えることになります。 それが「花」です。
白亜紀以前、陸上生物の種の数は、現在の10分の1くらいだったと考えられています。 ところがこの白亜紀を境に、生物の種類は爆発的に増えていきました。 それ以前3億5000万年ほどの間、植物は一方的に虫や動物に食べられるだけでした。

ところがです、
花ができたことで害を及ぼす虫を、逆に利用するという大逆転劇が起こるのです。

花粉(当時の昆虫が好んで食べていた)を差し出すことで、自分たちの受粉を助けもらうという 共生関係を作りだしました。 こうして別々の種が影響しあってお互いに進化する、共進化へと進みます。
花は蜜を分泌したり、色や匂いや形を進化させ、虫は花の花粉や密にたどり着くために 自分の形状を変化させたり、飛ぶための能力を身に付けたりしました。
時代を追うごとに、花や草木に集まる虫を食べる哺乳類の種の多様化も急激に進みました。
 

その中で霊長類の進化もあったわけですから
この花の誕生がなければ、今の地球の姿はなかったかもしれません。